1.3 出版社や教育機関のガイドライン¶
このページで学ぶこと
- 主要出版社や学会のAI利用に関するポリシー
- 大学におけるガイドラインの動向
- AI利用の引用・申告の方法と実例
主要出版社や学会のポリシー¶
AI利用に関するポリシーは急速に整備が進んでいます。ここでは、2026年2月現在の出版社や学会の方針例を概観します。
- Elsevier: AIを共著者として認めない。AI利用は方法や謝辞で開示する必要がある
- Springer Nature: AI(ChatGPT等)を共著者として認めない。使用した場合はMethodsまたはAcknowledgementsで申告する
- Wiley: 著者はAI利用を開示し、生成されたすべての内容の正確性に責任を持つ
- Taylor & Francis: AIを共著者として認めない。使用した場合はその範囲を申告する
- IEEE(米国電気電子学会): アシスタントとしての使い方のみ認める。使用は必ず明記する必要がある
- ACL(計算言語学会): AIによって生成されたテキストの使用について開示を求める
ポリシーは変化する
各組織のポリシーは頻繁に更新されています。投稿前に必ず最新版を確認してください。
たとえば、Science は2023年3月の段階では、「AIによって作成されたテキストは使用不可」としていました。しかし、現在は "Authors who use AI-assisted technologies as components of their research study or as aids in the writing or presentation of the manuscript should note this in the cover letter and in the acknowledgments section of the manuscript." となっており、校正目的での使用を認めています。
大学のガイドライン¶
日本の大学でも、生成AI利用に関するガイドラインの策定が進んでいます。多くの大学が共通して示している方針は以下の通りです。
- AI生成物をそのまま自分の成果物として提出することは不正行為にあたる
- AIを利用した場合はその旨を申告する
- 最終的な責任は利用者が負う
- 個人情報や機密情報をAIに入力しない
具体的な運用ルールは大学・学部・授業によって異なるため、所属先のガイドラインを必ず確認してください。
引用のルール¶
APA 7th スタイル¶
APA Style の公式ブログに、生成AIの引用と Reference 形式がまとめられています。
-
各種生成AIの引用方法
Citing generative AI in APA Style: Reference formats(APA Style, 2025) -
Referencesの形式 How to cite ChatGPT(APA Style)
OpenAI. (2025). ChatGPT (GPT-5.2) [Large language model]. https://chat.openai.com
一般的な例¶
多くのジャーナルでは引用ではなく Acknowledgements や Methods での申告 を求めています。
Elsevier: The use of generative AI and AI-assisted technologies in writing
Elsevier: Generative AI policies for journals
Elsevier は以下のような文言を References の直前に置く形を示しています(テンプレあり)。
その場合、以下のように 「用途の限定」 と 「責任は著者である」ということを明示します。
Declaration of Generative AI and AI-assisted technologies in the writing process
During the preparation of this work the author(s) used [NAME TOOL / SERVICE] in order to [REASON]. After using this tool/service, the author(s) reviewed and edited the content as needed and take full responsibility for the content of the publication.”
別の例:
Acknowledgements
During the preparation of this manuscript, the author(s) used ChatGPT (OpenAI; model: [MODEL NAME], accessed [DATE]) to assist with language editing (grammar and clarity). The author(s) reviewed and revised all suggested changes and take full responsibility for the final content.
何よりも投稿先の規程に従うことが最優先ですが、規程に特段の記載がない場合は、Acknowledgementsに上記のような記載を行うとよいでしょう。
論文執筆上のポイント¶
- AIの出力をそのまま引用する場面はなくす: 通常はAIの出力を参考にして自分で書き直すため、引用よりも申告が適切
- 申告の粒度は投稿先に合わせる: 「文法チェックに使った」レベルから「ドラフト支援に使った」レベルまで、求められる詳細さは異なる
- 記録を残しておく: どの段階でどのようにAIを使ったかをメモしておくと、後から申告文を書く際に役立つ(→ 1.2 学術的誠実性と剽窃防止 & 4.3 AI利用の申告と作業ログ)